「……言わなくて良かったのか」
「言わなくてもあの子ならわかっているよ」
「まあな」
御衣黄が去った後、桜のお茶を佐倉に出した初は言葉を紡ぐ。
「小岩井さんが死神になった。それは時に動きにくさを伴う。あの人はそれを知っていて尚、強さを求めた。……大切な人のために」
一口茶を含む。
「"大切な人"を助けることは躊躇しないだろう、そういう人だ。しかし、それがただの生徒だったら?生徒が傷つきそうなとき"ただの幽霊でなくなったあの人は助けることができるのか"」
答えは
――「死神として、助けられないときがある」
それは対象が幽霊であったり、この世のものでなかったり。
死神の処刑対象になり得るものたちだった場合だ。
「あの人は助けようとするだろう。けれども、一瞬迷うかもしれない。……その一瞬が命取りかもしれない」

