「聖也と別れて。」
ストレートに言う浮気相手。
「嫌です。」
あたしも負けずに言い返す。
「いつから聖也と浮気してるのかは知りませんけど、あたしの方があなたよりも聖也の事分かってるし、聖也から別れてほしいと言われたわけでもないし、たとえ言われたとしても別れる気はありません。」
あたしがそう言うと、浮気相手の女の人は顔を曇らせた。
こういうのって好きじゃないけど、この人と聖也が浮気してるのは事実だし、向こうから来たんだから受けて立つしかないわ。
「あなた、聖也とシたことあるの?」
「あります。」
一回だけだけど。
それも昨日。
「彼、あたしとシてる時すんごく気持ちよさそうなの。あなたの時もそうなの?」
意地悪く、皮肉にほほ笑む目の前の女の人を見て、余計に負けたくないという気持ちがわきあがってくる。
「言っときますけど、それはただ単に身体の相性だかなんだかがいいだけで、聖也があなたを愛してるとは言えませんよね?それに、浮気をしていても彼の本命はあたしです。あなたじゃない。」
浮気相手の女の人の顔が怒りに満ちて行くのが分かった。
怒らせちゃった。
でも本当の事だもん。多分・・・。
自信はあまり無かった。
「あたしだって聖也が好きなの!愛してるの!あなたなら分かるでしょ?あたしは彼を愛してる!彼もあたしを求めてくれてるの!お願い、聖也と別れて!お願いッ!」
ついに浮気相手が取り乱し始めた。
分かる。
聖也を好きになる気持ちは痛いほど分かる。
だけど、自分の彼氏の浮気相手に「別れて」って言われて「はい、分かりました」なんて言う女の子はきっといない。
「あたしは、聖也と別れる気はない。あたしは聖也を信じる。」
あたしはそう言って立ちあがった。
これ以上話しても無駄だと分かったからだ。
とにかく、聖也がコンビニの買い物から帰ってくる前にこの人には帰ってもらわなきゃ、またややこしい事になる。
「ごめんなさい。今日はもう時間がないので帰ってくれませんか?」
浮気相手はピクリとも動かなかった。
ただじっと黙って下を向いていた。
すると・・・
ガチャッ
「美月?ただいまー。美月の大好きなプリン買ってきたよぉ♪」
最悪なタイミングで聖也が帰ってきた。

