「俺は絶対に結衣と別れたくありません。」
はっきりと言ったんだ。これ以外の言葉なんて必要なかった。
黙って聞いてくれる結衣の両親。
「じゃあ質問を変えよう。」
と誠生さんは新たな質問をした。
「もし結衣が植物状態になったとしよう。その場合は君はどうする?」
さっきまで泣いていたはずの誠生さんは真剣な顔つきになり問う。
俺の答えなんてわかりきっている。
どう考えても俺の全ては”佐伯結衣”なんだから。
そのための答えなんて簡単だ。
「俺は…」
そう言うと同時に看護師たちがドアから入ってきた。
「検査の時間です」
一言告げると俺たちを追い出した。
きっと誠生さんもわかっているだろう。俺が言おうとした言葉を。
答えていないが誠生さんの表情は少しだが明るくなった気がする。
