ほんの数十秒乗っていたエレベーターのドアが開いた。
降りて数歩歩くと、
「ここよ」
案内された場所はICU室。
「そんなに危ないんですか?」
美奈さんは何も言わずに中に入っていった。
それを追って俺も中に入った。
「結衣ただいま。帰ってきたよ」
目の前にはベッドに横たわっている結衣の姿と結衣に話しかける美奈さんの姿だった。
「あの…」
「結衣、今日は奏多君が来てくれたよ。」
「………」
茫然と立っている。
座ることも結衣に近づくこともしない俺に、
「こっちにきてくれる?」
と美奈さんに呼ばれ結衣のそばに行く。
「ほら奏多君だよ」
俺の手を結衣の手に乗せた。
「ギュっとしてあげて」
言われるがままにギュっと手を握った。
