「なんでそう思うの?」
「この間結衣にからかわれてイラっときて言っちゃったんです。恋人同士だったらこれだけは言っちゃいけない言葉…それは…」
「もういいわ」
美奈さんは俺の話を中断させた。
「なんでですか?」
「気づいてないのね?あなた…
泣いてるわよ?」
「え?」
言われて頬を触った。確かに涙が流れていた。
気づかなかった。普通は気づくのかもしれない。でも、好きな人のことになるとやはり泣いてしまうのだと思った。
「今度続き聞かせてくれればいいわ。」
「………はい」
俺らはエレベーターに乗り込んだ。
行先は8階。
ICUがある階だ。
