「ねえ、私も
 そんなに花火
 満喫できてない。」



少し先を歩く
桜木の背中に呟いてみた。


「俺よりは楽しんでるだろ。」

「そう?
 桜木も女子に囲まれて
 楽しそうでしたけど?」

「嫌みかよ。」

「だって桜木が
 無理やり連れ出すから。
 真美にも怒られるし。」

「俺のせいにするな。」



静かな暗闇に
私達二人だけの声が
響く。


少しだけ沈黙が
続いて、


桜木は背中を向けたまま
その沈黙を破った。