・・・と思ったら
急に桜木君は立ち止まり、
私のほうに振り返った。
「・・・佐々木美織・・・」
「・・・?」
「・・・で合ってるよな!?」
「・・・はい!?」
私は思わず聞き返した。
何?まさかこの人、
私の名前うろ覚えだったの!?
・・・信じられない。
確かに私は桜木君と違って
顔も可愛くないし、
目立たないし、
どこにでもいる普通の高校生だよ。
でも、同じクラスなのに
名前覚えていないとかありえないしっ。
「今日からここでお世話になるから。
まあ、よろしく。」
「・・・どうも。」
桜木君はさらっと
挨拶を済ませると、
お母さんの後を追っていった。
玄関で立ち尽くしたままだった私は
とりあえず
脱ぎかけだったローファーを
脱いで、
カバンを持ち、
自分の部屋に入った。

