「美織ー?何ゆっくりしてるのっ。
もう遅刻するわよー。」


リビングから
お母さんの、
注意してるにも関わらず
呑気に聞こえる
声がした。


「あぁーもうっ。
髪くくる時間が〜っ‼」


手ぐしで髪を整える。
まだ少し暑いから
どうしてもくくりたいし、。
でも、
時間ないし。


「何ぼーっとしてんだよ。
ほらっ。」

「え?」


桜木から受け取ったのは、

自転車の鍵だった。



「後ろ乗っけてやるから。
早く準備しろっ。」

「わっ、ちょっと‼」