奏多はやっと 右手を離すと、 まっすぐ私の目を見て言った。 「ありがとなっ。 言うの急だったから、 正直また美織に怒られてると 思ってた。」 奏多は「中学ん時みたいになっ」 と、付け足して苦笑いした。 “気持ちは言葉にしなきゃ伝わんないよ” 真美の言葉を思い出し、 私は深呼吸した。 そして、口を開いた。