「はいはい。
美織はそうやって恋しないまま
青春時代を過ごしていくといいよ。」
「ちょっと!!
そんな言い方ないじゃんっ・・・!?」
真美が急に私の腕を
強く引っ張って
道端の茂みに隠れた。
「真美?何してんの?」
私が聞くと真美は
右手の人差し指を口に当てて
「しーっ!!」
と言った。
「あのね、桜木君見つけたのっ!!」
小さい声で嬉しそうに
真美は言った。
桜木君とは、
私や真美と同じクラスの
桜木空君。
イケメンで、背も高くて
おまけにクールな人。
そのモテっぷりといったら
半端なものじゃない。
全学年の女子生徒、女教師までもを
魅了する最強の王子様なのだ。
真美も魅了されてる
女の子の1人。
でも、真美はもともと
ミーハーなところもあるし
多分本気で好きではない。
・・・と思う。
「もうっ、そんなこと?
別に隠れる必要ないじゃん。」
立ち上がろうとする私を
真美は必死に止める。
「待って!!
美織は桜木君のこと
苦手だかなんだか知らないけどっ。
おかしいと思わない?
桜木君の家こっちじゃないもん。」
「言われてみれば・・・
ってそんなの私知らないし!!」
「あっ、もしかしたら
新しく住む家がこの近くなのかな?
いいなあ美織、近いかもじゃん!!」
真美は勝手に1人で
盛り上がって、
掴んでいる私の腕をブンブン振った。

