「…っと、
10時3分の電車に乗って
行くらしいです。」


気迫に負け、
なぜか敬語口調で私は答えた。
あいつって、
奏多のことだよね⁈

すると桜木は私の手を
掴むと、
家の外へと連れ出した。



「桜木!?どこ行くの?」

「…駅に決まってんだろ。
ほらっ、後ろ。」



いつの間にか、
桜木は自転車を用意していた。
そして後ろに乗れと
目で促す。


…もしかして、


「送ってくれるの?」

「お前がそんな顔してっから、
仕方ねぇだろ。
まぁ、早くあいつのこと
忘れて欲しいのもあるけど。」