「ちょっ、
デカイ声だすなよ。
・・・つか痛てぇし。」
桜木君は
痛そうに顔をしかめて
右肩を摩っていた。
「だ、だって
顔近かった・・・から。
しかも人の部屋に勝手に
入ってるし。」
「奈美子さんに
晩御飯できたから美織呼んで来て、
って言われたんだよ。
階段の下から呼んでるのに
佐々木、全然返事しねーし。」
「・・・な、奈美子さん!?」
お母さんの名前まで
ご存知なんですけど。
今はお父さん、
単身赴任でいないから大丈夫だけど。
もし帰ってきて
桜木君がお母さんを
“奈美子さん”って呼んでるのを
知ったら・・・・・・
絶対怒るだろうなー。
『奈美子と呼んでいいのは
俺だけだーっ。』
とか言ってさ、。
しかも、
どうせ空いているお父さんの部屋を
桜木君に貸したんだろうし。
・・・面倒くさくなりそう。

