「美織ー、早く帰ろーっ。」

「うんっ。」


私はほうきを
掃除箱に押し込むと、
友達の真美のもとに駆け寄った。


私は佐々木美織。
どこにでもいる高校1年生。
変わり映えのない
「普通」の学校生活を送っていた。


「あーもう7月じゃん!?
 夏じゃん!?
 彼氏欲しーい!!」

私の隣で騒いでいるのは
親友の一ノ瀬真美。
彼氏欲しーい、なんて
叫んでるけど
真美はかなりのモテ子。
明るくて、可愛くて、オシャレで。
私の自慢の親友だ。

だから、
毎回の告白をOKすれば
彼氏なんてすぐにできるのに。


『追いかけてくる男なんて
 つまんないじゃん。
 私はこう見えて追いかけたい派なのっ!!』

なんてくだらない“真美持論”で
告白をお断りするの。


「彼氏なんてつくっても
 何も変わらないよ。」

私は冷たく真美に
言い放った。
女子高生なのに冷めてるって?
そんなこと自覚済み。