「でっ?でっ?どーなったのー!!」
「うわわわ、痛い痛い痛い」
美希の握力ってこんなにあったんだ、って思うくらい強い力で腕を掴まれた。いや、鷲掴みされた。
「いや…だからその…」
「もー勿体ぶらないでよ!…いいよ、じゃあ新名くんに聞いてくる」
美希はそう言うと窓際の前から3番目に座る新名くんの所へと行こうとした。
「ちょっ!!待った待った!!言う!言うから!!」
ー…あたしは昨日の事を思い出した。
「ー…デートしない?」
新名くんのこの一言にはあたしが思わず振り向いてしまう力があった。
「……ん?ごめん、なんと?」
聞き間違い…ではないよね?うん、あたし地獄耳だもん。そんな間違いあるはずがない。
けど…そうであって欲しいと思った。
「駄目?」
「いや、駄目とかそういう話じゃなくて」
「え、じゃあ良いってこと?」
「違うわ!」
「じゃあなに?」
なんで新名くんこんな上からなの?
あたしは若干の憤りを感じながらもかなり動揺していた。
だって…新名くんだよ?あの新名くんに何か変なこと言われたんだよ?
いつも1人で何考えているか全く分からない新名くんに…
「…なんであたし?」
「なんでって?理由必要?」
「うん」
そうしなきゃ納得いかない。
「嫌だよ」
「おい」
「えーいちいち言うの?」
「当たり前でしょ」
…いや待て。
まさか……これってドッキリ?
最近確かに新名くんとは良く話す。彼はよく笑う。
そんな感じのノリでこれはドッキリ…か?
