「きりーつ、きょーつけ、れい」
「あぁーやり直し!!おいお前らちゃんと礼しろ、日直もやる気がないぞ!」
「えぇ、もう4回目」
「なんで号令するだけでこんな時間掛けんの」
「おいそこ!うるさいっ!早く終わりたかったら真面目にやれ」
結局、今日の朝の号令は5回やった。
うちの担任は変な所に厳しい。それはクラスのみんなが思っていることであたしもその1人。
でも普段は良い先生だからみんな何だかんだで先生が好きだ。
「加奈ー、次移動教室だよ」
朝のHRも終わり、クラスメートの美希はあたしの机の前にやってきた。
あたしは横黒板に書いてある予定表を見て次の授業を確認。
「げっ…次化学じゃん」
「うん、テストやるっぽいよ」
「……うそでしょ?あたし何にも勉強してないよ?」
「あたしもあたしも」
…あなたは頭が良いから勉強しなくても大丈夫だろーが。
この前のテストだってクラスで2位だったくせに。いや、3位だったくせに。
「何よその目は」
美希はあたしの視線に気付き怪訝な目であたしを見た。
「べっつにー」
あたしは机の中から教科書とノートを取り出すとまだあたしを変な目で見ている美希に早く行くよ、と促した。