「…どうも」







「なにその嫌な顔。不愉快だよねとても」






よりによって新名くんの元に行くとは…。ボールめ。


いや待て、まさかこれは…



あたしは後ろを振り向いて美希を見た。…が、普通の感じ。


なんだ…美希がわざとやったのかと思った。たまたまか。









「はい」





新名くんはそう言うとボールをポンと投げた。







「あ…ありがとう」





あたしはもらったボールをじっと見た。







「…なに、別に何も仕込んでないけど」





「いや分かってる」





「そ?早くいきなよ村井さん待ってるよ」





新名くんはあたしの前で座っているから必然的に上目使いになってる。

その姿にドキッとした。


いや、あっちのドキッじゃなくて全然全然違う方のドキッだけど!










「そんなに俺と話したいの?」




……違うし。



あたしだって早く向こうに行きたいさ!!



でも…










「………一緒に…やる?」






うわっ言っちゃった


いやでもあたし悪い事はしてないよね。


うん、大丈夫大丈……





てか新名くん、何て顔してんの…


ポカーンと口を開けてまさに間抜け面ってやつだ。










「はははっ、やめなよそんな変な顔っ、ぶっさいー…」





「っ、うるさいんだけど」





新名くんは照れ隠しなのかあたしに足で砂をかけてきた。

それもまた何だか可愛くてついニヤニヤしてしまった。








「苦手なんだよ」





新名くんは俯きながらそう呟いた。とても小さな声で。















「……うんどう」