試験が終わると美利亜は校門に向かった。



そして黒のハットを被った人を探した。



が、すぐに見つかった。



美利亜はその人のところまで行くと



「あのー、あなたが金糸雀ですか?」



いきなり声をかけて驚かれると思っていた美利亜だったが、目の前の人は落ち着いた声で



「そうよ。じゃああなたがミミ?」



「はい。ウチ、真目美利亜。よろしくお願いします。」



と美利亜が笑顔で返すと向こうも微笑んで



「アタシ、椎名愛梨栖(しいなありす)。こっちこそよろしく。」



と一旦言葉をきると



「いきなりで悪いんだけど、ちょっと来てほしいところがあるの。何も言わずについてきて。」



そう言うと愛梨栖はスタスタと歩いて行ってしまった。



「えっ!ちょっ、待ってよ~。」



美利亜はその後をパタパタと走って追いかけた。



そして追いつくと



「あの、か…じゃなかった。椎名さん!どこ行くんですか?」



だが、愛梨栖は美利亜の質問には答えず



「椎名さんって呼び方、かたっくるしいんだけど。」



「えっ?あっごめんなさい。前の学校ではずっとこうだったんです。なんて呼べばいいですか?」