「つーかなんで知ってんの?」


「知ってるよ~。美利亜に聞いちゃいけないこと聞いて泣かせたもんね。」


「はぁ?泣かせてねぇし。」


「泣かせたよ。さっき電話があって、泣きながらあの人どうにかしといてって。それで全部見てた廉に聞いたの。ねっ、ヘタ廉。」


愛梨栖が振り返ると廉が立っていた。


「ヘタ廉ってひどいんだよん。」


「あのさ、つまり全員後をつけてたんだな?」


「いや、涼だけ普通に帰ったけど。」


「あっそ。」


「それで龍。」


愛梨栖は満面の笑みを浮かべながら


「もう1発殴りたいところだけど遠慮しとく。」


「はぁ?なんで俺、そんなに殴られなきゃいけねぇんだよ。つーか、遠慮ってなんだよ、遠慮って。」


「もちろん、美利亜に殴ってもらうためじゃん。ついでに言うと、明日も龍の奢りだから。」


「はぁ?なんで?」


「泣かせたからに決まってんでしょ。」


「いやぁ、悪いね、龍。いつもいつも。」


「なんでお前らのまで奢らなきゃいけねぇんだよ!」


龍が叫んだ途端、愛梨栖のケータイが鳴った。


「あっ!美利亜からだ!もしもし?」


「はっ?いつの間に番号交換しあったんだよ?」