実奈の視線の先には


「へっ平成の…怪…物。」


聖夜がいた。


「ずいぶんと手荒な真似をしてくれたじゃないか。そうやって手荒なことしてるとシンデレラの魔法が解けちゃうよ?」


「えっ?」


実奈がそう言った途端、バキッと音がした。


廉が無理矢理手錠の鎖を切ったのだ。


「てめえ…、俺の仲間に手ぇ出してんじゃねぇよ!」


いつもと目付きも口調も変わった廉はボールペンを実奈めがけて投げつけた。


ボールペンは実奈の顔に当たるか当たらないかのギリギリのところを通って後ろの壁に刺さった。


「廉さま、なぜこのようなことを…。」


「彼女を傷つけたお返しです。それに、彼女を見ていたらなんとかこの縁談を円満に断れないかと考えていた自分がバカらしくなってきました。」