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―17年前―


美利亜の出産を控えた母、水玲(みれい)は聖夜とともに買い物に出掛けていた。


「なぁ、母さん、こんなとこうろついてていいのか?」


「なんで?」


「父さんに内緒でさ。それに予定日、来週だろう?」


聖夜は水玲を見上げた。


「引きこもってばかりじゃ気が滅入っちゃうもの。それに強い護衛がついてるもの。平気よ。」


水玲はそう言ってうふふと笑った。


「真雷刀、使ったら赤ちゃんに影響出るだろう。使えなきゃぼくはただの役立たずだよ。」


聖夜は自虐的に言った。


すると突然水玲はお腹を抱えて座り込んでしまった。


「母さん!?」


「大丈夫。ちょっとめまいがしただけだから。」