美利亜はしゃがみかけて


「よしっ!」


1人で気合いを入れるとドアを思いきり開けた。


「あっ!いた。」


「かっ桂さん!?なんでこんなとこに?」


「慎也でいいよ。その格好、似合うね。」


「あんまりうれしくない。」


美利亜は顔を赤くしながら言った。


「とりあえず、教室まで送るよ。」


「いえ、すぐそこなんで大丈夫です。」


視聴覚室を指差しながら美利亜は言った。


「1つ聞いてもいい?」


慎也はおもむろに口を開いた。


「なんですか?」


「俺、記憶ないけど美利亜ちゃんもじゃないの?」


慎也は真っ直ぐ美利亜を見ながら言った。


「なんでそれを知ってるんですか?」


美利亜は誰にも言ってないのにと呟いた。