黄昏時、会いに行く




夜の公園はやはり怖い。
人っ子一人いない上、ただ噴水の吹き出ている音だけが不気味に響いている。

「はぁ……」

また涙が溢れてくる。
どんだけ涙脆いんだ、私。
これはまるで、清水くんと会う前と同じ状況だ。

「また清水くんに会えないかなー……なんて」

自嘲気味に笑う。
それと同時に、涙も零れる。

あーあ、何期待してるんだろ……

ふと前を見ると、一人の男性が歩いてきた。
何やら切羽詰まっている様子である。

「どうしたんですか?」

私は立ち上がり、男性に近付いた。
顔を除き込むも、何の反応も示さない。

「……」

虚ろな目で私を見てくる。
顔には生気がなく、ゾンビみたいだ。
そう認識した途端、悪寒が走った。

……マズイ。逃げなきゃ。

直感的に、そう思った。

じりじりと後退する度、覚束無い足取りで男が前進してくる。

「いや……!」

相手の左手が伸びてくる。
走って逃げ出したいところだが、足が言うことを聞いてくれない。
首を振り、手を前に出し、男を押し退ける。

「来ないで……!」

その時、男の手にナイフが握られているのが見えた。
一気に身体が凍り付く。

男が右手を振り上げた。
どうすることもできない。
私はギュッと目を閉じた。