「嫌だよ!……アメリカなんか、行きたくなかった!」
「……そっか」
「もうちょっと、一緒にいたかった……私、もっと清水くんと、話したかった!」
「……うん」
すぐ近くで彼の声が聞こえてくる。
嗚咽する私に対し、清水くんは至って冷静だった気がする。
彼は私を拒否することなく包み返してくれ、頭を優しく撫でてくれた。
その腕の感覚から、昨日の黒い人は清水くんだったと分かる。
「清水くん、昨日はありがと……」
「いえいえ。やっぱり、危険な目に遭わせるわけにはいけないから」
「優しいんだね……」
だからこそ、そんな貴方が大好きです。
「……」
清水くんは何も言わなかった。
その代わり、抱き締めてくれている力が少し強くなった。
清水くん、短い間だったけどありがとう。



