最近は、隣にいるだけでも心拍数が早くなる。
だけど、この感情にも今日で終止符を打たなくてはならない。
「どうしたの?何か顔がひきつってるけど」
「え?そんなこと無いよ」
笑ってみせる。
そんな私に対して、清水くんは真剣な目で私を見てきた。
「嘘。笑顔になってないし」
「そんなこと……」
「何か隠してるんだろ?」
「……」
ほら、やっぱり。
清水くんに隠し事はできないな……
私は彼から目を逸らした。
「実は私、転校するんだ」
「え?どこに?」
「……アメリカ。明日発つんだ」
「そうなんだ……」
隣で小さな溜め息が聞こえてきた。
今日でお別れ。
だから……
「清水くん、今日は笑える話沢山して!」
「笑える話?」
「いっそのこと、ダジャレでもいいから!」
「それって寒くなるだけだと思うけど?」
「それでもいいの!」
泣き顔で別れたくないから。
「……分かった」
清水くんは眉を下げ、小さく微笑んで頷いた。
光陰矢のごとし。
時間は、あっという間に過ぎ去っていく。
日は暮れ、辺りが薄暗い。
街灯もポツポツと点き始めている。
これも今日で終りだ。



