「『黄昏は逢う魔が時』って言ったじゃん。夜は危ないって言ったのに……」
「……!」
この声質。
話し方。
そして、前にも聞いた言葉。
「もしかして、清水くん……?」
「……」
男性は何も答えようとせず、私の身体を解放した。
そして、凛とした声で告げた。
「何で泣いていたのかは分からない。でも、今はここにいちゃダメだ。危険すぎる。
だから、早く家に帰るんだ!」
「う、うん」
戸惑いながらも、私は逃げるようにしてその場から走り去った。
アレが清水くんだったらどうしよう……
嫌われちゃったかな。
でも、私の事助けてくれた……
いや、それでも私は彼の言うこと聞かなかったからなぁ。
自己嫌悪に陥る。
ダブルで襲い掛かってくる負の感情を抱え、私は家のドアを開けた。



