意味もなく、公園をふらつく事がある。
気持ちが落ち着くと言うのもあるのかもしれない。

今は夏。
青々とした木々。
西の方で、赤く燃える太陽。
ひぐらしの鳴く声が遠くで聞こえる。

いつもなら心が踊るこの時分。
しかし今日は違った。

何を見ても気分が沈む。
ひぐらしの声さえ、今日は鬱陶しく感じられた。

「はぁ……」

噴水近くのベンチに座り、小さく溜め息をつく。
目からは、何故か涙が止めどなく流れてくる。
拭っても意味がない。

目の前の噴水の周りを、子猫に追っ掛けられている少年がくるくる回っている。
あぁ、あの子は悩みとか無さそうでいいなぁ……

私は下を向いた。
制服のスカートに、涙が落ちる。