まるで記憶を失った人のように、そんな質問を自分自身に繰り返す。
私という存在を確かめるように。
この世界を確かめるように。
(…くる、しい)
それはバラの花の首が折られたときのよう。
椿のように潔く散りゆくことは出来ないから。
乱れた呼吸とともに上下する胸が私の"生"を証明する。
ビリビリ痺れた余韻の残る顔に泣き喚きたくなる衝動を必死に堪えた。
一体今は何時なんだろう。
人の声は聞こえないからまだ早い時間なのだろうか。
それとも私がそれを聞こうとしないだけなのだろうか。
(た す け て)
口先だけで紡いだ言葉は空気に触れることなく飲み込まれ消えていく。
頭のなかは未だ夢と現実の境界線を行ったり来たり。
ただ、そう考える理性だけが冷静に働いていた。


