「…ハァ…ハァ…」
詰まっていた息を吐き出せば荒く乱れる呼吸。
重たい目蓋にぐっと力を入れる。
力任せになんとか薄く開けば、ぼんやりと見えたのは見慣れたはずの天井。
それに違和感を感じるのは最早日課のようなもので。
それを虚ろな瞳で眺めながら浅い呼吸を繰り返す。
焦点が合っているのかいないのか、なんて。
そんなの私自身にもわからない。
そんなもの、どちらだって構わない。
「…っ…ハァ…」
目の前に広がる狭い世界の景色は、紛れもなく毎日生活している自分の部屋のもので。
いつも変わらず同じはずなのに、何故かいつも見知らぬ世界のように感じるのだ。
一体此処は、どんな世界なんだろう。
私が生きている狭い狭い此処はどんな世界なんだろう。
(ここは、何処で、私は、誰────…?)


