私が此処に来なければ無かったであろう時間。

交わらなかった二人。



──────────コポ、



けれど、この出会いは必然なのだと心の奥に広がる海の底が声にならない悲鳴をあげた。

それでも今は気付かないふりをして。

偶然訪れたこの時間に身を寄せる。


サワサワ揺れる枝葉も私たちに干渉することはない。


きっと、だから私たちは此処にいるのだ。




「ハナはどうして此処に来たの?」




誰も来ないかと思ってたのにと、彼は相変わらずゆったりとした喋り方で私に同じ質問を投げ掛ける。


丁寧に手のひらで包まれたような言葉。


同じ質問なのにどうしてこうも響きが違うのか。

私のものとは全く別物に聞こえたそれに、思わず唇が苦笑いを描く。