寧ろ、そこに意味などなかった。

もちろんどんな答えが欲しいわけでもない。


その証拠に、私の視線は相変わらず空へと向いたままだ。


多分アダムも私の質問に意味などないことは気付いているのだろうと思う。




「…仕事でさ、こっちの方に来たんだ。それでたまたまこの場所を見つけたんだよ」




少しの間考えるように視線をさ迷わせた後、空を見上げながらそう答えたアダム。


少しだけ躊躇いを含んだ声と選ばれた言葉。

その答えに一度だけ彼に視線を向ける。


見えた彼を取り巻く空気が"聞くな"と短く告げていた。




「ふーん…」




"そっか"とアダムの返事に小さく頷く私。

そして再び空を仰ぐ。

アダムがそう言うのならそれが答えで構わない。