そんなことを考える私の様子を、小さく首を傾げながらじっと見ていた彼。


暫くの間視線が絡まる。

時が止まる瞬間。


再び時間が動き出したのは、彼の空気が緩んだとき。

彼はふと何かを思いついたように首を持ち上げ、一度小さく頷いた。

その途端にこりと表情を和らげ、ポンポンと自分の横を手で叩く。


呼ばれているのは私。

どうやら座れということらしい。


私は言われるがまま彼の傍に歩み寄りその隣に腰を下ろした。



───────────コポ、



その瞬間、ふわりと鼻を掠めた彼の匂い。

思わず深く吸い込みたくなるその香りに、くらりと目眩を覚える。


知らない人は苦手だ。


目を見ることすら怖いと。

その温度を近くで感じるのも嫌だと思うほどに。

特に男の人の隣など、普段は絶対に避ける場所。