けれど、それをすぐに口ずさむことが出来たのは単なる偶然なんかではなかったのだ。
そして私は知っている。
あの曲が一番新しいアルバムにリメイクして収録されていることを。
「うん。気付いてくれるかな、と思って」
それはアダムにとっても大きな賭けだったに違いない。
私が彼を覚えている確証など、どこにもなかったのだから。
実際、私が"おねえさん"のことを思い出したのはつい最近のことだ。
(あぁ、でも)
それでも夢の少女は…あの頃の私は彼のことを忘れたことなんてなかった。
あの約束を、忘れたくなんてなかった。
(だって私は───…)
「…俺は、ハナと出会ったあの日から…君という海に生きてるんだ」


