いつもこの場所に来れば必ず彼女がいて。

此処で、笑っていてくれた。

それが当たり前だと思っていた。


けれどよく考えたら、彼女以外の子どもがこの場所に座っているのを俺は見たことがない。


誰か同い年の子と遊んでいてもいいはずなのに。

彼女はいつだって一人静かに此処にいる。


本を読んでいたり、歌を歌っていたり、太陽の光を浴びてウトウトと船を漕いでいたり。

その時によって様子はいろいろだけど、それでも彼女はいつだって一人だ。


今までそれを不思議に思ったことはなかった。


彼女が一人ベンチに座る姿はとても自然だったから。


だけど、それはもしかして不自然なことだったのだろうか。