王子様を待っているのだろうか。
お姫様は祈るように海を見つめている。
その真っ直ぐな眼差しが、目の前の少女と重なって見えた。
(俺より、この子に似てる)
そっくりだ。真っ白く、綺麗な君に。
そう伝えても、きっと彼女は不思議そうに首を傾げるのだろう。
簡単に想像できてしまうその表情に思わず口元に浮かぶ笑み。
太陽の光が彼女の黒い髪を照らして、白いティアラを与えていた。
穏やかな時間が二人を包む。
そんな俺たちの目の前を通り過ぎていく子どもたち。
時折ケラケラと幾つもの笑い声が聞こえてくる。
その声にあることが頭を過った。
(そういえば…)
俺は、この子が他の誰かと遊んでいるのを見たことがあっただろうか。


