けれど、それが届かなくなっていたら?
そう思ったとき、この顔も体も声も。
俺を作る全てのものが何一つ自信にならなくなっていた。
もっと男らしい顔なら、体なら、声なら。
何かが変わっていたのだろうか。
何かが違っていたのだろうか。
無い物ねだりだとわかっていても、そんな思いが常に身体中を回り続けるのだ。
「………、」
それでも口をついて出るのは、自ら作ったメロディー。
(誰も、聞いてないよな)
辺りを見渡し、小さく口を開いて音を奏でる。
どんなに自信のなくなった声だとしても、歌うことを止めることは出来ない。
目を閉じて、世界から全てを消して。
「─────…」
ただ、自分の作った世界だけにこの身を投げた。


