階段を抜ければそこには避け続けてきたドア。

恐怖の対象でもあったそれ。

その前で立ち止まり、すっと息を吸い込む。


まだ、怖いと感じる。

足は恐怖に立ちすくむけど。




(がんばれ)




そう、アダムが背中を押してくれた気がしたから。



──────────コポ、



私は意を決して顔を上げた。




「お姉ちゃんおはよ」


「おは、よ」




リビングのドアを開いて、今日も変わらずそこにいる彼女に挨拶を返す。

緊張のせいか詰まった声。

それでもいつもより少しだけ上がっていたトーンに彼女は気付いただろうか。


それはひたすら意地を張っていた私にとって大きな変化だと思うけれど。


多分、これだけじゃいけない。