「…ん…」
ふと、目が覚めた。
いつもとは少しだけ違う、まだ肌寒い休日の朝。
まるで誘われるように開いた目蓋。
一瞬覚えた眩しさも、不快だとは思わなかった。
ただ、久しぶりによく寝たと感じる。
必ず見ていた夢の残り香はない。
いつもは曖昧になってしまう思考もしっかりとしていて。
頭を重いと感じることもなかった。
こんな朝を迎えたのは一体いつぶりだろう。
もう何年も、どれだけ寝ても軽くはならなかった体に数えきれないほどの溜息を吐いたというのに。
そんな朝が当たり前になっていたのに。
部屋は相変わらず静かで、傍らには愛用のヘッドフォン。
何も変わっていないはずの世界が、何か変化しような気がした。