「…っ。やはり、あの計画は辞めて、別の…」
「お父さん。別に死ぬわけではないんです。大丈夫だから、心配しないで。」

さっきからずっと悲しそうな顔をしているお父さんは、やはり私がこの計画を持ち出したことに、少々不満があるらしい。

けれど、藤成を救うなら、これが1番良く、早い方法だと思う。


私はお父さんの手を取り、強く握った。
大丈夫だという意味を込めて、お父さんの目を見つめた。


お父さんは、揺らいでいた目を私に戻し、小さく頷いた。


私は普段よりも小さくなったお父さんの体に抱きついた。
お父さんも抱き締め返してくれた。


「絶対に、帰って来るんだぞ。」
「必ず。」


お父さんの着物からは、お父さんの匂いがして、凄く安心した。