──帝目線────









「どこだ……?」


呼び出された場所に来てみたが、相手がいない。


「まだ来てねぇのか」


俺はその場にしゃがみこんだ。

あっちぃ…。
なんでこんな暑い日に外に呼び出すんだよ…汗かいてきた。



ふと今日の朝の出来事を思い出す。




突然玲香が豹変し、俺を罵り始めた。
…すげぇびっくりした。
けど嫌じゃなくて、ワクワクしてしまう自分がいた。

あの玲香の冷たい目が俺を射る。
玲香の細い指が俺にアイスティーを押しつける。
玲香の唇から紡がれた言葉が俺を責め立てる。

もうなんつーか……興奮しちゃって、その後の授業はあんま覚えてない。




「…つくづく変態だな。俺は」




自分の異常さに気づいていないわけじゃない。
とっくに自覚はしているし、変わり者だってことも知ってる。

けどまあ、だからってヤベェとは思ってない。


俺がどんな性格だろうと、どんな人生を歩んでいようと、誰を好きになろうと。

周りの奴らにとやかく言われる筋合いはない。


それは確かに俺のことを思ってのことかもしれない。
けど、俺にはそんなのいらねぇ。