一週間前────
「かっれっしっがっっ!!ほっしっいっっ!!」
「玲香、うるさいんだけど」
「いいでしょ別に!彼氏のいる奈美にはあたしの気持ちなんか分かりません~!」
高校生活二年目。
ともなればやっぱり彼氏が欲しいお年頃。
「青春は今しないでいつするんだ!!」
「…よく分かんないけど、じゃあ作ればいいじゃん。あんたモテないわけじゃないんだから」
「うーん…とは言ってもねぇ……」
確かにあたしは中学時代も高一の時も、彼氏はいた。
けどなんか、付き合ってもつまんなかったんだよなぁ。
彼氏のことは好きだったはずなのに、いざ恋人っぽいことをしても全然ドキドキしなかったり。
キスとかそれ以上のことをしても嬉しいって感じなくて、むしろ気持ち悪くなったり……。
奈美にそのことを言ったら、「本当はあんまり好きじゃなかったんじゃないの?」って言われちゃった。
「玲香は告白されたから付き合ってみただけで、相手に全く愛が無い」って。
……ちょっとヒドくないか?
「ねぇ、奈美。『愛』ってなんだろう」
「は?いきなり何言ってんの?」
「………………」
その時ガラッと教室のドアが開いた。
瞬間、ざわめく教室。
