「咲、一回しか言わないから聞いてね?」 突然真剣な顔つきになった透に、不安を抱いたこともあった。 でもそれは、即座に吹き飛んだ。 「俺、咲のこと愛してるよ」 メールでは何度か言ってくれた台詞。 直接言ってくれたのは、その時が初めてだった。 私は泣きそうなのを堪えて、透と同じことを口にした。 「私、春野咲は、透のことを愛してます」 透は私を抱きしめてくれた。 私も抱きしめた。