みりいの小さい体を抱き締める




「こいつが俺の婚約者。吉野財閥の令嬢だ」


「よ、吉野財閥っ…!?」




よし、もう少しで諦める




と、思ったんだけど



「吉野財閥の社長さん、この男をウチに譲って頂けないか!」




なに言ってんだ、このジジイ!!



今まで黙っていたおじさんは負けじと言い返す



「悪いが、彼はやれないよ。彼にはすでに私の仕事をやってもらっているし、次期社長の座も渡すと決めてあるのでな」




そう、俺がずっとやっていた仕事は、ただの手伝いじゃなくておじさんの仕事



これはみりいにも内緒だったから、案の定、みりいは目を見開いて驚いている




ここまで言ったのに




「じゃあ、好きなだけ金を払おう。な?それでいいだろ?」




金持ちの考える事ってわかんねぇな



なんで金で全部手に入ると思ってんだろう




「……悪いが、いくら金を積まれても、彼はやれないよ。…海都くん、帰ろうか。もうここにいる必要もないさ」



「はい」




こんなとこにいても、イライラが募るだけだ