……なんでこうなるかな




俺はステージに向かいながら、ため息をついた



目立たないように過ごすつもりだったのに




思いっきり目立ってんじゃねぇか




ステージ上がると、美弥とかいう女が俺を見つめた




……性格キツそうだな。つーか、自己中?



「お父様、スゴくタイプだわ!」


「そうか!君、名前は?」




なんで教えなきゃなんないわけ?



「いえ…名乗るほどの者じゃないんで」


「いいえ、教えてくれないと困るわ!あなたは私の婚約者になるんだから」



……は?なんで勝手に決められなきゃなんねぇんだよ



ふと横目でみりいを見ると、今にも涙が溢れそうだ



その姿を見た瞬間、俺の中で何かが切れる音がした



「あのさ、俺、婚約者がいるんですけど」


「えっ!?」



女が驚いた顔をする



「どこの子だい?うちにおいで!お金もあるし、美弥だってこんなにキレイだ!」




あぁー、いたよ


金があるだけで幸せだとか、なんでも思い通りに出来るとか思ってるやつ




「そこら辺の財閥よりウチの方が…「うっせぇんだよ。あんたらがどう言おうが、俺はその婚約者を溺愛してる。お前の男になるつもりは欠片もない」




そして俺は



「……みりい、おいで」



不安でいっぱいな顔をしたみりいを呼んだ



みりいは走って俺に近づくと、勢いよく俺に抱きついた