ニコニコ笑顔を向けるこの人の名前は葉山廉。

ひとつ上の兄ちゃんの同級生。

そしてあたしの最もキライな人。

「げ…」

「げ…ってひどいなぁ」

「兄ちゃん!!」

家に入れてしまった本人を睨むと

「あーすまん」

ぼーっとした返事が返ってきた。

謝る気ないだろオイ。


「先輩、なんであたしがまだ家にいるってわかったんですか…」

「ぁー匂いでわかったんだよ」

なんですか、それ…。

「気持ち悪…」

「相変わらずの毒舌…」

「兄ちゃん、この人ほって早く学校行こ」

「はいはい」

あたしは兄ちゃんを引っ張る。

「ちょっ…オレをほってくな!」