甘い甘い空気。

もう少し、もう少しこのままで…。

そう思って胸をドキドキさせていると

♪〜♪♪

「「!!!?」」

先輩の着信音と思われる音がなった。

その瞬間、ビクゥゥッ!!!
となるあたし達。

一気にあたし達は距離をとった。

「うあっ!?えっと!?あっ!!はいぃ!」

焦って電話に出る先輩をみて
おかしくて笑った。

「うぉおぉ!!朝日!驚かすなよな!!」

兄ちゃん??

「ご、ごごごめん!!日向見つかったの言うの忘れてた!!」

え!?もしかして兄ちゃんも
あたしのこと探してくれてたの??

先輩の電話の向こうの声は聞こえてないけど
話の内容がなんとなくわかってしまった。

兄ちゃん、先輩があたしを見つけてからも
ずっと探しててくれたのかな!?

うっわ、かわいそー!

「お、怒らないでください!ほんとすいません!あっ!うん、わかった!すぐ行くよ!」

もし、あのまま…

兄ちゃんから電話がきてなかったら…。

一人で考えて赤くなった顔を
冷ますように左右に振った。

かっ、考えないようにしよっ!
そうしよ!!

「日向、帰るよ」

「あっはい!」

いつの間にか電話が終わった先輩。

「ほら、危ないから」

と、さり気なく出してくる手。

「は?」

「あ、ごめん!調子に乗った!ごめん!!」

えぇっと、手を繋ごうって
言いたかったんですか、ね?

「は、はい…」

素直に手を差し出すと

「え、いいの?」

「あ、危ないですから…」

恥ずかしくてプイッとそっぽを向いてそう言うと

「そうだね。危ないよ」

嬉しそうにあたしの小さな手を
大きな先輩の手が包んだ。

家までの帰り道、
口元の緩むあたしがいたのは
先輩には秘密です。