「もう一度言っていい?今度はちゃんとするから」

「う、うん」

佐藤がゆっくり口を開く。

それだけで心臓がバクバクいった。

「葉山がスキです。あたしと付き合ってください」

「あ、あっあの」

オレは日向が……。

「日向ちゃんから許可はもらってるから気にしなくていいよ。最初はお試しでもいい絶対スキにならすから付き合って」

その言葉を聞いてオレは冷静になった。

「……許可?それどういうこと?」

「だから、日向ちゃんはあたしのこと応援してくれてるの。それって葉山と付き合ってもいいってことじゃない?だから許可って言ったの」

「へぇ」

日向の馬鹿野郎。

「ごめん、オレがスキなのはやっぱり日向だ。佐藤と付き合っても佐藤のことスキになることはない。絶対に」

冷たい言葉だと思う。

でも事実だ。

「なんで!?あたしを選んでよ!顔だってスタイルだって人並みよりいいでしょ!?」

「そんなの関係ない。顔やスタイルが日向より良かったとしても断ってるよ」

「どうして??あたし結構尽くすよ!?わがままだって許すよ!あんな子より絶対いいよ!」

「べつに都合のいい彼女がほしいんじゃない。日向だからスキで、日向だから欲しいんだよ」

「むかつく!!あんな子顔だけじゃない!」

「そんなに言うくらいスキになってくれたのは嬉しいよ、ありがとう。でも……」

バン!

オレは我慢がならなかった。

佐藤を住宅地の壁に押さえつけて言った。


「あんな子とか二度と言うな」



「は、はぃ、ゴメン、ナサイ…」

普段怒ったりしないオレがキレたからか
佐藤は途端に怯えた顔をした。

や、やばい。

「わかってくれればいいんだよ」

咄嗟にニコッと笑うオレ。

するともっと恐怖に怯えた顔をした。

「ご、ごめん怖がらせるつもりはなかったんだけど」

「キャー!!怖いー!!」

物凄い速さで自分の家の方へ逃げてく佐藤。

「え…」

そんなすごい形相したかな!?
ど、どうしよう!
月曜から話すらしてくれないかも!!

「はぁ…まあいっか。日向さえいれば」

もう帰ってるかもしれないけど
なんとなく急いで日向の家へ向かった。