「ほら、行けよ」

「い、行くってどこに……」

「はぁ??何を今さら…」

「……」

そして佐野先輩はニヤリと笑ってこう言った。

「葉山、さっきいた女と素敵な夜を過ごすことになるんだろうなぁ~。あー羨ましい」

「なっ!先輩はそんな不埒な真似はしませんよ!!」

「はぁ?男は誰だって綺麗な女に誘われたらついていきたくもなるもんだ」

「先輩に限ってそんなことは「ないとはいいきれないだろ?」

な、なんかいつも通りに戻ってるし。

きっとあたしに気を使わせないようにしてるんだろう。

「佐野先輩ありがとうございます」

「おう」

「デート楽しかったです」

「そうだな、俺も楽しかったよ」

もうこれで佐野先輩との関係は終わりなのかな。

なんだか寂しいよ。

「あ、あの……!」

「あぁ??もういいから早く行けっての。今なら間に合うかもしれねぇだろ??」

そうかもしれないけど……。

「……」

「心配しなくても俺はこれからもお前の先輩だから安心しろ」

「!っはい!!」

今日一番の笑顔で頷いたあたしは
佐野先輩に本当に感謝しながら再び走り出した。