「俺は、早く大人になりたいんです」 それが彼の口癖だった。 大人ぶった敬語を使うのがその証拠。 「だからね、イチさん。俺は今すぐにでもあなたのことをめちゃくちゃにしたい」 そう言いながら私の唇をなぞる細い指に、鳥肌が立つ。 官能的で、恐怖すら覚えそうな美しさ。 ねぇ、そんなあなたがどうして私と向き合っているの。