く ち び る



「っ……なに、」


 一瞬の妙な静けさに、強く瞑った目を開けようとし―――

 脳に直接介入してくるような強い光を感じ、後ろを振り向けば、突き抜けるような突風とともに白が広がった。

 あった筈の和室がそこににはなく。白の光のみが満ちていた。不思議と眩しくは感じなかった。

 パキ、と何かを踏み潰すような微かな音とともに、ゆらりと人影が伸びる。

 言葉も出ずに、瞬きも忘れていた。


『――――、』


 光が薄まり、戻ってきた和室に佇んでいたのは、背景に削ぐわぬ男だった。

 見たことのない、ぞっとするような美しさをもつ、白い髪の。