母が失踪した翌日───

俺と父と母の姉で学校、仕事を休み市内にあるホテルを手分けしてかけずりまわり、写真を見せ、来たことないか?これから来たらすぐ報せて欲しい旨を話した。

祖父母は警察に捜索願を出しに行った。

2日目はホテルを回り終わっても、母の行きそうな所を夜遅くまで時間をずらし、何回も見てまわった…。

失踪3日後───

俺達は八方手を尽くし、もはや為す術なく、ただ待つことしか出来なかった…。

PM6時頃───

ジリリリリリ

自宅の固定電話がけたたましく鳴り響く…。

ガチャ…。

父『はい…。林田です…。』

『◯◯警察署です…。』

受話器から微かに漏れて来た言葉がそれだけしか聞き取れなかった…。

父の顔が青ざめていくのが手にとるようにわかる…。
父『はい、ありがとうございます。いまから行きます。』

ガチャ…。

直也『今の警察でしょ?母さん見付かったって?良かった。帰ってきても怒らないで「おかえり」って言ってあげよう。』

父『直也…。母さんはな…。』

父はそれ以上の言葉を出せず、俺の前で初めて涙を見せた…。

その涙で俺は全てを悟ってしまった…。